色々な法律事務所に損団した結果、ついに弁護士事務所と契約します。
そして、ステージは「相談」から「書類集め」へと移っていきます。
その頃の経験談です。
個人再生でアディーレと契約
アディーレとの相談を終えた僕の心は決まっていました。
少しでも車が残る可能性があるのなら、アディーレにかけたい。
車の存在に囚われた僕は、弁護士との相性よりも、着手金の料金よりも、車を残すために弁護士を選択しました。
相談から1週間後、再びアディーレ法律事務所を訪ねます。
応対してくれたのは、事務員の長谷川さんでした。
長谷川「個人再生で契約されることを決められたのですね」
まさ「はい、他に選択肢はないかなと思って…」
長谷川「手続き上手く進むといいですね。それでは契約書類を持ってきますので、しばらくお待ちください」
長谷川さんは相変わらずお母さんのような柔らかい物腰で、どこか安心感を感じさせる人でした。
長谷川は10分ほどで部屋に戻ってきて、一緒に弁護士の近藤さんも部屋に入ってきます。
近藤「この度はご契約ありがとうございます。契約の前に重要事項の説明だけさせていただきます」
近藤さんは、契約書とは別の用紙に書かれていた項目を一つずつ読みながら僕に確認を取っていきました。
特に気になったのは、クーリングオフのような制度があることでした。
近藤「契約いただいてから一定期間内に契約を解除する場合には、アンケートに答えていただくことを条件に着手金を返還させていただきます。一般的な買い物で言うところのクーリングオフ制度のようなものですね。
ただし、途中で契約を解除してしまうと、一斉に債権者からの督促が再開しますので、できるだけ使わない方がいいかと思います」
弁護士との契約のクーリングオフ制度なんて初めて聞いた。
それだけ苦情がくるっていうことの裏返しかな?
もちろん初めての債務整理でしたので、僕はその意味を邪推してしまいます。
それ以外の説明については、特に気になることはなく、契約するなら当然と思われる内容が並んでいました。
近藤「それでは、こちらの書類から順番にお名前をご記入ください」
僕は促されるままに契約書にサインをしていき、最後に印鑑を押しました。
近藤「ありがとうございます。それでは契約に関しては以上となりますので、これから長谷川の方から個人再生手続きの進め方について説明させていただきます」
そう言うと、近藤さんは席を立って一礼し、部屋を出ていきました。
やっぱり弁護士は重要なところしか立ち会わないんだなー。
小さな弁護士事務所がどのような対応なのかは、相談したことのない僕には分かりませんでしたが、やはり弁護士が特殊な存在に感じます。
いや、多重債務者である自分の方が、世間からしたら特殊か…
そんなことを考えていると、長谷川さんがクリアファイルに入った用紙を渡してくれました。
長谷川「まずは、裁判所に提出するための書類を集めるところから始まります。こちらの用紙に必要な書類は全て書かれていますので、期日までに書類を集めていただき郵送で送ってください」
そう言われて用紙を見ると、たくさんの書類の名前が目に飛び込んできます。
あらかじめ、ある程度ネットで必要書類については目を通してあったので、それほど驚きはしませんでしたが、初めて見た人は集める書類の量にびっくりするかもしれません。
しかも、平日に休みを取らないと取りに行けない書類ばかり。
お金の面でも大変ですが、休みをうまくとることも必要です。
まさ「分かりました。書類が集まったら、この封筒に入れて送ればいいんですね」
長谷川「はい。大変だと思いますけど、全て手続きには必要な書類ですから、頑張ってください。分からないことがあったらいつでもお電話くださいね」
そうして、今回の事務所訪問は終わりました。
特に一つ一つの書類について説明があるわけではなく、一覧表の用紙を見れば大抵のことは分かるようになっています。
いつ、どこで手に入る書類なのか。
その書類の用途は。
そんなことが一覧表には書かれています。
次の日、会社に行くとすぐに自分の予定表を確認しました。
書類集めのための休みを申請するためです。
幸いなことに、僕の会社はパソコンから申請をすることができます。
休む日と、その理由を書いて登録して、上司がそれを承認すれば自動的にその日が休みとなります。
ここに書く「休む理由」ですが、特別な事情がない限り「自己都合」と書けばOKと上司には言われています。
自己都合・・・
普通の会社員なら、家族との時間を過ごすため、自分の休養のため、自己啓発のため、そんな有意義な時間のために自己都合と書くんだろうな。
たかが休みの申請を出すだけですが、この頃の僕はとてもナーバスになっていたので、一つ一つの行動がとても情けなく思えて仕方がありませんでした。
そう、ここから僕の債務整理がスタートしたのです。
書類集めのために、休みを取って最初に行ったのは銀行でした。
過去2年分の取引履歴を開示してもらい証明書を発行してもらうためです。
通帳が長い間記帳されていないと、おまとめ記帳といって、詳細な取引履歴は記録されず、合計のみ通帳に記載されるようになります。
おまとめ記帳ではお金の動きがわからないため、裁判所に提出する書類には使えません。
そもそも通帳を記帳していなかった僕は、一つ一つ銀行を回って、取引履歴を発行してもらうことになりました。
うわー、かわいい銀行員さんだなぁ。
はじめに行った銀行で受け付けてくれた女性の銀行員さんがものすごくかわいくて、びっくりしました。
銀行員「本日はどのようなご用件でしょうか」
かわいすぎて、目を合わせられない・・・
まさ「あの、過去2年分の取引履歴の書類が欲しいんですけど」
銀行員「かしこまりました。ではこちらの用紙に記入をお願いします」
渡された用紙に、口座番号・名前・開示する期間を記入していきます。
書いているところを見られると緊張するなと思いながら記入を続けていくと、途中で手が止まりました。
「用途」
取引履歴を開示した書類の用途。
債務整理・・・
なんて言えるわけない。
銀行員「どんなことに使われますか?」
促された僕は完全にテンパってしまい、正直に答えてしまいました。
まさ「債務整理です・・・」
銀行員「あ・・・それではこちらに債務整理とお書きください」
完全に動揺してしまった僕は、急いで書こうとしますが漢字が頭から飛んでしまいます。
「えっと、債務整理ってどういう字でしたっけ・・・」
銀行員さんはすぐにメモ用紙を取り出し、漢字を書いてくれました。
この時の情けなさと言ったら、今までに経験したことがありません。
本当に何をしているんだと、自分自身にひどく落胆します。
銀行員「1年分が1500円なので、2年分で3000円になります」
・・・高い!
弁護士に依頼して、借金の督促は無くなっているとはいえ、弁護士費用を月々8万円ずつ払っていく身としては、とても高い金額に感じます。
これは、弁護士に依頼するにしても、現金をある程度もっていないと、書類集めすらできなくなってしまうな。
そんなことを考えてしまいます。
申請した取引履歴は、数日後に自宅に郵送されるとのことです。
続いて二つ目の銀行に向かいますが、ここで問題がありました。
銀行印がどれか分からない。
二つ目の銀行の口座は、親が自分のために作ってくれた口座で、銀行印が持っている印鑑のどれなのかわからない状態になっていました。
親に電話して聞いてもわからないとのことだったので、新規に銀行員を登録してもらおうと思い、新しい印鑑を持って銀行に行きました。
銀行に入り、受付のカードをもらってしばらく座っていると、番号を呼ばれます。
まさ「あの、過去2年分の取引履歴が欲しいのですが」
受付の女性は40代半ばと思われる女性でした。
この銀行は、その日ものすごくたくさんのお客さんがいたので、受付の女性もテキパキと仕事をこなしているようです。
受付の女性「銀行印と通帳はお持ちですか?」
通帳も持っていなかったので、両方とも無いと答えます。
すると、受付の女性は少しびっくりした表情で答えます。
受付の女性「銀行印がなければ発行できません。探してきてください」
冷たく突き返されます。
その言い方に少し固まっていると、
受付の女性「まだ何かありますか?」
と言われ、トボトボと受付から離れていきます。
別に悪いことをしているわけではないので、正直に銀行印を新しく登録したいと言えばいいのですが、顔色を窺ってしまい口に出せませんでした。
債務整理という重荷が自分の自信を奪っていきます。
不思議なことに、弁護士に依頼する前の自分の方が自信にあふれていました。
借りているものでも、お金はお金。
いずれ払わなければいけないものであっても、その時に手元にあるお金は、人に自信を与えます。
借りられるお金がないという状況に、少しずつ追い込まれていました。
手続きが完了した後は、数年間お金を借りられず、切り詰める生活が始まる。
こんな調子で大丈夫なのだろうか。
銀行から出た僕は立ち止まり考えます。
ここで帰ったら休みが無駄になる。
これからも書類集めは続くし、休みは効率的に使わないと。
思い返して銀行に再び向かい、先ほどの受付の女性に声をかけます。
まさ「銀行印をなくしたので新しく登録したいのですが」
またもや、受付の女性は驚いた顔で答えます。
受付の女性「喪失会員ということでよろしいでしょうか」
喪失会員・・・
別に悪いことをしているわけではないのに、その響きにドクンと鼓動が聞こえました。
まさ「銀行印を登録したいだけです」
受付の女性「分かりました。喪失会員届を書いてください」
喪失会員というのは、銀行印をなくした人のことを指すようでした。
債務整理をしているから、それがばれて口座を削除されるのかと思った・・・
深く深呼吸して喪失会員届を書き、一緒に渡された取引履歴開示の申請用紙を見ます。
やっぱり「用途」の欄がある。
迷った結果、用途の欄は空欄で出してみました。
受付の女性は一通り目を通した後、こう言いました。
受付の女性「用途の欄には通帳紛失のためと書いてください」
ああ、その手があったか!
それなら一つ目の銀行に行く前に教えてほしかったよ・・・
無事に申請を終えて帰路につきます。
通帳も紛失届をだして、再発行してもらいました。
1日目から疲れる展開だな。
書類集めには、大なり小なり壁があります。
おそらくその壁を乗り越えていく過程も、個人再生の一環なのでしょう。
そう、お金に対して正しい感覚を持ち、自分が再生するための手続きです。
書類集めを始めて
書類集めが始まり、債務整理に向けての一歩を踏み出しました。
正直、個人再生の手続きに必要な書類の数は、とても多いです。
そして、役場や銀行など、平日でないとやっていないところでもらわなければならないものが多くあります。
平日の昼間にどれだけ回ることができるかがとても大切なので、休む理由をしっかりと考えて、あらかじめ会社には休むことを伝えておくといいかもしれません。
この後も書類集めが続きます。
しかし、弁護士の受任通知によって、債権者から連絡がこなくなって返済をしなくてもいいのは、ものすごく精神的負担が軽くなります。
自転車操業でお金をやりくりしている人からしてみると、受任通知の前と後では、天国と地獄くらいの差があるかもしれません。
どれだけ自分がお金というものに憑りつかれていたか、この頃に一番実感しました。
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