個人再生の申し立てのための書類集めを始めて、少しずつ前に進んでいることを実感するようになりました。
それにしても、集めなければいけない書類が多い。
また、身内や会社に債務整理の事実がバレそうなものもあったので、慎重になる場面も多々ありました。
その頃の体験談です。
引き続き個人再生申し立てのための書類集め
銀行の取引履歴の開示から始まった個人再生の書類集め。
続いて行ったのは市役所でした。
市役所でもらえる書類は、住民票、戸籍謄本、課税証明書、固定資産評価証明です。
住民票、戸籍謄本、固定資産評価証明については特に用途を聞かれることもなく、必要事項を紙に書いて窓口に手数料とともに提出すればもらえました。
しかし、課税証明書については、申請書にその使い道を書く欄がありました。
ここでも書くべき理由が見つからず、窓口の人に口頭で質問されます。
窓口「どんな用途でお使いになられますか?」
まさ「あの…弁護士に提出するためです。債務整理をすることになって」
窓口「ああ、そうなんですね。でしたらこちらに債務整理と記入してください」
正直、用途を記入する理由がわかりません。
本人が取りにきてて不正利用するわけでもないし、そもそも記入する内容を嘘ついてたら、ここに書いてもらったところでっていう感じですし。
それでも、ここでうまい理由を考えられずに債務整理と答えてしまったのは失敗だったなと後で後悔します。
市役所なので、もちろんご近所さんが働いている可能性があります。
記入した用紙は、市役所の職員ならば誰でも目にすることができる。
そんなところに債務整理する事実を書いたら、どんなことがきっかけで隣の人にバレるか分からない。
バレた時は、子どもや妻に影響があることも考えられるので、安易なことをしてしまったことを後悔します。
次に向かった場所は、法務局。
ここでは、不動産登記簿謄本をもらうことがあできます。
こちらは特に用途を聞かれることなく、手数料だけで書類をいただくことができました。
市役所と法務局が離れていますので、時間に余裕も持って計画しておいて正解でした。
ここまでは比較的にスムーズに書類を集めることができ、なんとかこのままトラブルもなく進むといいなあと一息つきます。
でも、この後集めなきゃいけないものが大変そうなんだよなあ。
続いては、保険証券と、保険の解約返戻金証明書です。
あまり保険に対して興味がない僕は、保険証券を紛失してしまっていました。
というか、親が保険会社で働いており、ノルマ達成のためにたくさんの保険に入らされていたので、自分がどんな保険に入っていて、どの保険が解約されたのかをちゃんと把握できていません。
なので、興味のない保険に関する書類なんて封筒も開けずにガンガン捨てていたわけで、おそらく捨てた中に保険証券もあったのでしょう。
親はすでに定年退職していましたが、幸か不幸か親戚のおばさんが保険の担当を引き継いでいたので、おばさんにとりあえず連絡を入れます。
親戚のおばさんには債務整理のことを話すつもりはなかったので、頭の中で適当な理由を考えてから電話をとりました。
まさ「おばちゃん、お久しぶりです。保険のことで相談があるんだけど、ちょっといいかな?」
おばさん「あら、まさくん。お久しぶりー。どうしたの?」
まあ「実は保険証券をなくしちゃって、再発行ってできるかな?それと、今保険を解約したらいくら戻ってくるのかが分かる証明書も欲しいんだけど」
緊張しながら答えを待ちます。
おばさん「証券の再発行と、解約返戻金の証明書ね。だいじょうぶだよ。書類を書いてもらわなきゃいけないから、会える日あるかな?」
まさ「ありがと。えーっと、次の金曜日の夜でもだいじょうぶ?」
おばさん「了解。じゃあ、また金曜日に連絡するね」
電話を切った僕は、何も聞かれなかったことに胸をなでおろします。
でも、ひょっとしたら親が先に理由を話してたのかな?とか、後からぐるぐるといろんなことが頭の中を回ります。
債務整理をしている後ろめたさは、どんな時も頭を離れることはありません。
金曜日におばさんと会った時も、特に理由を聞かれることもなく、書類だけ書いて雑談して終わりました。
ついでに自分にかかっている保険の内容も再確認しておきました。
親が勝手にかけて、僕が支払っている保険もいくつかあったので、今後に備えて保険料を見直すためです。
聞いてみた結果、僕は4本の保険に入っていました。
子どもの保険2本と、妻の保険が1本、自分自身の保険が1本です。
子どもと妻の保険は、入院した時に手当てが出るだけのものですので大して高くはありませんでしたが、僕が入っている保険は治療のために入院すると、治療費が全額返ってくる強力な保険です。
そのため、月々の保険料も3万円弱と高めです。
個人再生をすると保険を解約させられると思っている方もいるかもしれませんが、強制的に解約させられることはありません。
あるとしたら、保険料が高くて収入と支出のバランスが取れてないと思われる時に、固定費削減のために検討してみてくださいと言われるくらいです。
この保険もちょっと見直したほうがいいかもな。
そんなことを考えていました。
続いての書類は、退職金見込み額証明書です。
退職金の計算なんてしたことがある人は、そんなに多くないんじゃないでしょうか。
僕も、一度も退職金の計算をしたことはありませんでした。
そのため、退職金の計算の仕組みがわかりません。
退職金がポイント制になっていることは知っていましたので、退職金に関する記述を就業規則の中から見つけます。
やばい、全然分からない…
どれだけポイントがたまっているかは、定期的に郵送されてくるハガキに書かれているのでいいのですが、そこから退職金を計算することができません。
その日は休日出勤をしていましたが、悩んだ結果、退職金に関わる部分を全て印刷して、弁護士に郵送することにしました。
自分で計算するよりも、プロに判断してもらった方がいいだろうと判断した結果です。
本当は人事や経理などに言えば証明書を発行してもらえるらしいんですが、やっぱり使い道を聞かれることが怖い。
会社に債務整理の事実がばれると、仕事がやりにくくてしょうがなくなります。
小さな会社に勤めている人は、人事や経理と席も近いだろうし、より不安なことが増えると思います。
弁護士に郵送した結果は、退職金規定のコピーに企業名が入ってないので、就業規則の企業名が分かるページを印刷して送ってくださいとのことでした。
内容的には問題なかったようです。
あとは、車検証のコピーと、車の査定。
車検証は車の中にいつも乗っているのでコピーを取るだけですみました。
車の査定は1回行ったことがあるので、なんとなくは雰囲気を知っています。
平日に休みを取って、以前査定を出してもらったところにお願いしに行こうかなと考えながら、車で家を出ました。
購入して1年も経っていない車は乗り心地が良く、スムーズに町の中を走っていきます。
結局向かった先は、前に査定をお願いしたところとは違うお店でした。
2社分の見積もりが必要だったので、前に出してもらったところは2社目としていこうと考えました。
よくCMでも耳にする中古車販売店です。
お店に着くと、駐車場を掃除していた若い男の店員さんが近づいてきました。
店員「いらっしゃいませ」
まさ「えっと、この車の査定を出してもらいたくて来ました」
店員「査定ですね。かしこまりました。どうぞ店内へお越しください」
そう言われて車を降り、店員さんの後ろをついていきます。
お店に通された僕は商談用の机に座り、鍵を店員さんに渡します。
店員「それでは、早速お車を見させていただきますね」
車を綺麗に使うことはものすごく心がけていて、タバコの匂いもついていませんし、コーティングもしてあります。
とても愛着のある車だったので、どうせなら高い値段がついてくれると嬉しいな、とそんなことを考えていました。
その考え方が間違っているとは知らずに。
15分ほど経って、店員のお兄さんが嬉しそうな顔をして戻ってきます。
店員、「大変お待たせしました。それでは査定書を持ってきますね」
そう言うと、奥にある部屋に入っていきました。
ナビやバックモニター、ドライブレコーダーなんかは、全て後付けで買っているので、その分見積もりにも期待できる状況でした。
店員「お待たせしました。それではこちらがお車の査定額になります」
査定書に目を落とすと、210万円と書いてあります。
これは…高いのか?
それとも安いのか?
この車の査定は初めてだから分からないぞ。
店員「この金額は車の売り方によって変動します。うち(お店)が間に入って取引する場合はこの値段になりますが、お客様が直接買いたい方と交渉して売る場合にはこれよりも高くなります。
230万から240万の間くらいになると思います。
うちのシステムにこの車を登録しておけば、買いたい人がいた時にすぐにご連絡できますがいかがでしょうか」
つまり、どんな形で車を売りに出すかで、値段が変わってくるということのようです。
まさ「今日は見積もりだけしてもらって家で検討しようと思っていますので」
申し訳ない気持ちも少し生まれましたが、やんわりと登録を断ります。
店員「そうなんですね。少しお待ちいただいてもよろしいでしょうか」
店員さんは奥の部屋に戻っていくと、数分後に出てきます。
店員「とりあえず登録だけでもしておきませんか?もし売りたくなければ、断ってもらうこともできますので」
まさ「いや、結構です」
奥で上司に色々言われているのかもしれません。
こんなようなやり取りを何回か繰り返しているうちに、なんだか疲れてきてしまいました。
早く2社目に行きたい。
店員のお兄さんが折れた頃には、もうお昼前になっていました。
朝一から来ているので、2時間ほど経っています。
店員「では、もしよろしければ、この本を差し上げますのでお持ちください」
渡された本は、手品のタネが仕込まれている本でした。
表からパラパラめくると絵本になっていますが、裏からめくっていくと全てのページが白紙になってしまいます。
これは…面白い。
子どもが喜びそうだな。
店員「うちの店の名前が入っていますが、よろしければどうぞ」
そう言われたのでありがたく受け取ります。
これで帰れる…
席を立って査定書を手にした時に呼び止められます。
店員「すみません、こちらはお渡しできないんです」
え、そうなの?
まさか、紙まで出してもらったのに、持って帰れないとは思いませんでした。
だから弁護士事務所からは名刺に金額を書いてもらえって指示していたんだな。
まさ「じゃあ、金額忘れるといけないので、名刺の裏に金額を書いてもらっていいですか?」
店員さんは快諾し、名刺の裏に210万円と240万円と書いてくれました。
お兄さんに送られて車に乗り込むと、どっと疲れが出てきます。
はぁ…
そして、車を走らせてコンビニに行き、もらった手品の本を捨てました。
お店の名前が入っている本を持って帰れば、「車売っちゃうの?」と子どもに心配をかけるかもしれません。
それに、嫁さんの家族に見つかったら、買って1年も経ってないのに、どうして見積もりなんて取りに行っているんだと、突っ込まれることは間違いないです。
とにかくバレるリスクは無くさないと。
車のことを好きな人は、この手の話にとても敏感です。
嫁さんの家族は一家揃って車が大好きなので、中古車販売店のチラシを持っているだけで突っ込まれることは間違いありません。
気を取り直してコンビニから出ると、2社目の中古車販売店に向かいます。
このお店は、とても元気な店長さんがいるお店です。
お店に着くなり店長さんが出てきて、大きな声で挨拶されます。
本当に気持ちのいい接客だなぁ。
車の査定をお願いしたい旨を告げると、お店の中に入ります。
店長さんは早速車を見に行ってくれましたが、5分くらいですぐに戻ってきました。
店長「この車って、まだローンのお支払い中ですか?」
そう、車検証を見れば一発で分かるのです。
所有者のところにディーラーの名前が書いてありますので。
まさ「はい、燃費が気になっちゃって、ハイブリッドにかえたいなと思ってるんです」
用意してきた嘘をつきます。
店長「なるほどなるほど。ちなみにおいくらで購入されました?」
まさ「270万円ですね」
店長「安いですね!」
店長はびっくりして、どうしてそんなに安く買えたのかと聞いてきます。
まさ「実は、親が車の販売をしていて。その関係で社員割引で買えたんです」
店長「そうなんですね。ただ、社員割引の車だと、ひょっとしたら売ることができないかもしれませんよ?」
店長さんの説明によると、社員割引で買った車は、ローンの返済が終わるまで売らないという特約を結んでいる場合があって、その時は売却の値段でローンが完済できたとしても売ることができないとのことでした。
まあ、初めから売るつもりなんてないので、どちらでもいいんですが…
まさ「分かりました。それで、見積もりはいくらくらいになりそうですか?」
店長「いやー、お車の状態は完璧でございます!とても綺麗に使われてますし、傷などもありせんね!これだけ状態がいいと240万円でも買い手が見つかると思います!」
なんと、270万円で買った車が、半年以上乗って240万円の価値があると。
店長「この車は海外でも人気が高いんです。ひょっとしたら250万でも売れるかもしれませんよ」
店長さんは嬉しそうに説明してくれます。
売るつもりはないからいくらでもいいんだけど、やっぱり自分が持っている車が高く値段がつくと嬉しいな。
少し気分が良くなった僕は、査定書を出してもらえないか聞いてみました。
「すみません、書面ではお渡しできないんです。多分ほかのお店に行ってももらえないんじゃないでしょうか」
うん、確かにもらえなかった。
やっぱりかー。
ということで、ここでも名刺に240万円と書いてもらって家に帰りました。
債務整理目的じゃなかったら、車売って新しい車を買ったり、いろいろと夢が膨らむんだろうな。
書類集めは終盤に差し掛かり、残るところは家の査定書と過去三か月分の家計のみです。
書類取得の理由を考えておくこと
申し立てのための書類集めをしていると、書類の用途を聞かれることがあります。
答えた回答によって書類がもらえないということはないと思いますが、やはり債務整理に利用すると答えるのは、周りの人にばれないためにも避けた方が無難です。
車の査定にお願いするときにも、「どうして手放そうと思ってるんですか?」というのは、聞き方は違っても必ず聞かれます。
一つ一つの書類をもらう前に、聞かれたらこう答えようっていうのを決めておくと、動揺せずにいられると思います。
残る書類は、家の査定書と家計です。
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