返しきれない借金があるが、借金を整理しても、周囲にその事実を知られたくない!特に車はないと困る!という方は多いと思います。
まさに僕もその状況でした。
車は妻が仕事で使っているし、車が変わったり無くなったりすると、妻の家族にどれだけ突っ込まれるか分からない。
もし万が一、車が原因で債務整理の事実が妻の家族にばれるようなら、離婚になるかもしれない。
僕の弁護士相談の焦点は、そこが全てと言っても過言ではありませんでした。
では、どのような整理方法なら車が残せて、どのような条件なら車が引き上げられてしまうのでしょうか。
結論から言うと、「ディーラーローンで残高があり、かつ価値がつく車である場合、そのローンを債務整理の対象とすると、間違いなく引き上げられる」(ただし例外あり)です。
目次
借金の整理手段
返しきれなくなった借金を整理する方法はいろいろあります。
しかし、車が担保のローン(基本ディーラーで契約するディラーローン)の残高がある場合は、方法を間違えると車を債権者に引き上げられてしまいます。
その一方で車を手元に残したまま借金を整理していく手段もいくつかあります。
車がなくなると、自分の生活にも大きな影響があるし、周りの目もあるので説明が大変なので、車を残したままなんとかしたいという気持ちはとても分かります。
それでは、いろいろな借金の整理の方法について、車がどうなるのかを具体的に確認していきましょう。
親にお金を借りる
一番デメリットが少なく、リスクもないのが、親にお金を借りて、借金を全て返してしまう方法です。
当然のことながら、車は残り、返済の滞納がなければブラックリストに載ることもありませんし、親からの借金ということで普通は利息も付きません。(ひょっとしたら普通が通じない家庭もあるかもしれませんが…)
でも当然のことながら親に借金を打ち明ける必要がありますし、そもそも親に経済的余裕がないと、お金を借りることができません。
でも、親に借金を打ち明けるという行為は、今後の自分の行動を見直したり改めたりするには、とても大事なことだと思います。
借金は誰にも見られていないと思うからついついしてしまうもの。
僕もそうでした。
でも、僕は親に借金のことを話すことで気持ちを切り替えることができました。
この機会に親に話をして、借金を全額返すことができれば、かなり綺麗な心と体で普通の生活を送るための準備ができると思います。
親に話すのはお金も手間もかかりませんので、まずは初めに考えてみてください。
少し話はそれましたが、ローンがディーラーローンの時、車を残す一番確実な借金の整理方法は、親から借りてディーラーローンを全額返すという方法です。
車のローンを借り換えする
自分一人で解決するための最初の手段としては、他の金融機関にお金を借りて、借り換えをする方法があります。
ですが、この方法は結構なリスクがあります。
借り換えの具体的方法は、利用枠の大きいカードローンを契約して、そこからお金を借りて車のローンを一括で返済するという方法です。
この手段の難しいところは、そもそも返すのが難しい額の借金があるのに、新しく利用枠の大きいカードローンを契約することができるのか?という点です。
金融機関も商売ですので、返ってこない可能性があるお金を貸してくれることはありません。
ありがちなケースとしては、車のローンを一括返済できる額ではないが、少額の利用枠でカードが発行されてしまう状況です。
このケースが借金が大幅に膨らむ第一歩だと僕は思っています。
そして、一番の問題は、「借金の額が変わるわけではない」という点です。
借り換えした後に返済できる見込みがないのであれば、そもそも借り換えする意味はありません。
それどころか、借り換えしたことで、その後にするかもしれない債務整理に対し、とても大きなリスクを残すことになります。
借り換えは、必ず返せる目処が立っている場合のみ検討するようにしましょう。
任意整理する
ここからが弁護士に依頼する債務整理の手段になります。
任意整理をすれば、将来の利息をカットして、元金だけを分割で払っていくことができるようになります。
そして、車のローンだけを対象外として任意整理することで、車を手元に残すことができます。
親にお金を借りることができなかった場合に、車を残しながら借金を整理する一番現実的な方法が任意整理です。
デメリットとしては、ブラックリストに載ってしまうことと、借金の減額がそれほど大きくないことです。
でも、借金の滞納を続けていくことになれば、どっちみちブラックリストに載ってしまいますので、ここは割り切るべきポイントです。
借金の減額が大きくないことで、任意整理後も払っていける見込みがないのであれば、次の債務整理の手段、個人再生を選ぶことになります。
個人再生する
個人再生をすると、借金の総額が最大で5分の1になります。
借金に対してはとても大きなメリットがありますが、車はどうなってしまうのでしょうか。
答えは、「ディーラーローン残高があり、車に価値があるなら車は残すことができない」です。
ここで、ディーラーローンについて、詳しく見てみます。
ディーラーローンとは
車を担保として組むローンのうち、一番代表的なのがディーラーで組むローンです。
通称ディーラーローン。
それ以外にも、車を担保としてお金を借りて車を購入するケースもあるかと思いますが、ここではディーラーローンに焦点を絞って進めます。
ディーラーローンの代表としてトヨタ系の例をあげると、トヨタの車をディーラーローンで買った時はトヨタファイナンスが債権者になります。
ディーラーローンの特徴として、審査に融通が利くということがあげられます。
ディーラーローンは、組んでもらえることで自動車が売れるというメリットがありますので、ディーラーもローンの審査を通すためにいろんな方法を提案してくれます。
頭金を増やしたり、車の価格を抑えたり、保証人をつけさせたり。
そうでなくても、基本的に銀行のマイカーローンなどに比べると、圧倒的に審査は緩いです。
それも全て車を売るためなんですね。
そんなディーラーローンですが、銀行のマイカーローンやオートローンの審査が通らなかった人は必然的に利用することになりますが、それが個人再生を行った時にどのような扱いになるのでしょうか。
車の引き上げの条件
車を引き上げるかどうかは、ディーラーローンの債権者(トヨタの場合はトヨタファイナンス)が決めることになります。
意外と勘違いしている方も多いと思いますが、裁判所が命令して車が引き上げられるわけではありません。
ですので、この条件を満たしたら引き上げられるという明確な基準はありません。
しかし、一般的には、査定に出した時に20万円以上の価値がつく車であれば引き上げられる可能性が高くなると言われています。
逆に20万円以下の場合は、自動車を引き上げても返済に充てることができないため、引き上げられる可能性はかなり低いでしょう。
つまり、まとめると個人再生を行なって車を引き上げられる可能性が高くなる条件は、以下のようになります。
・ディーラーローンを組んでいて残高がある
・20万円以上の価値がつく
ここで、とても大事なポイントがあります。
他のサイトで「車検証の所有者が債権者じゃなければ、引き上げられない可能性がある」と書いてあったりしますが、所有権留保とか、第三者対抗要件とか、そんな難しい話は置いておいて、そんなことは関係なく「引き上げられると思っておいたほうがいい」です。
それはなぜか。
本当にざっくりと書きますが、個人再生をしようとする時に車の引き上げを拒否すると、債権者は急いで訴訟を起こしてきます。
訴訟を起こされると、必ず負けます。
すると、車を「裁判所の執行官」が引き上げにきます。
どういう状況か分かりますか?
最初から引き上げに応じれば、事前に電話連絡があり、業者が車を引き取りにきますが、拒否した場合の最悪ケースでは裁判所の執行官がくるのです。
しかも、執行官がくるのは朝方や夜など、家にいそうなタイミングにきます。
実は僕はこのケースに当てはまっており、訴訟を起こされ、執行官に引き上げられました。
詳しくは体験談に書こうと思いますが、もう本当に恐怖でしかなかったです。
そうならないためにも、ディーラーローン残高ありで、20万円以上の価値の車に乗っている場合は、弁護士と車の引き上げに対してどのような方針とするかよく話し合ってください。
ちなみに、タクシーの運転手など、仕事で車がどうしても必要な場合は、裁判所に申請して、引き上げられないようにすることもできます。
ただし、かなり条件は厳しく、通勤で使っているからなどの理由では申請は通らない可能性が高いです。
20万円も価値がつかない古い車であれば、個人再生をしても大抵手元に残せます。
自己破産する
自己破産は、全ての借金を帳消しにする債務整理です。
その代わりに、20万円以上の価値がつく財産は、全て処分しなければなりません。
これは、車に対しても同じことが言えるので、査定額が20万円以上の車は、ローンの種類に関わらず、必ず処分されます(手元には残りません)。
借金の額が多すぎたり、個人再生をできるだけの収入がない場合は自己破産以外の選択肢はありませんので、その場合は車は諦めるしかないです。
まとめ
銀行のマイカーローンなど、ディラーローン以外でローンを組んだ場合は、自己破産以外なら車がなくなることはありません。
ディラーローンの場合は、債務整理以外の方法でローンを完済すれば車を残せます。
ディラーローンを組んでいても、任意整理なら車を残せます。
ディラーローンを組んでいて個人再生をする場合は、車の価値が20万円以上なら車はなくなります(ただし、仕事でどうしても必要なら交渉の余地あり)。
自己破産をする場合は、ローンの種類に関わらず、20万円以上の価値がある車はなくなります。
最後に、僕が相談した弁護士に言われた言葉を書いておきます。
本当にその通りだと思います。
車のことは心配だと思いますが、一度腹をくくって弁護士への相談をしましょう。
僕が考える理想的な弁護士の選び方について書きました。