債務整理手続きの一つである個人再生は、裁判所に「借金を減額してください」と申請し、認めてもらう制度です。
この記事では、個人再生認可までの手続きでクリアしなければならない4つのハードルと、それぞれのハードルでクリアしなきゃいけない条件について説明します。
4つのハードルとは、
・開始決定
・書面決議の開始
・書面決議
・認可決定
です。
弁護士に全て任せておけば意識しなくても手続きは進んでいきますが、実際に自分がどんな手続きをしているのか気になりますよね。
難しい単語もところどころ出てきますが、ぜひ読んで覚えておいてください。
特に、僕のようにいきなり弁護士が辞任することになると、自分の状況を自分の口で新任の弁護士に説明しなきゃいけなくなります。
レアケースだとは思いますが、そんな時でも自分の口でしっかりと説明できるように。
自分の手続き中の心境の移り変わりも一緒に書いていきたいと思います。
個人再生のメリットとは
はじめに個人再生の効果について、簡単におさらいしておきます。
個人再生の手続きを行うと、借金が5分の1から10分の1に圧縮されます。
借金の総額 | 圧縮後の額 |
---|---|
100万円未満 | 借金の全額 |
100万円から500万円 | 100万円 |
500万円から1500万円 | 借金の総額の5分の1の額 |
1500万円から3000万円 | 300万円 |
3000万円から5000万円 | 借金の総額の10分の1 |
ここに書かれている圧縮後の額は、価値のある財産を持っていない場合の額になります。
もしあなたが家や車など20万円以上の価値がある財産を持っている場合は、その財産をお金に換えたときの金額によって圧縮後の額が決まってきます。
例えば、査定を出すと2500万円の価値がある家を持っていて、住宅ローン残高が2000万円だった場合、2500万円-2000万円=500万円の財産を持っていることになり、圧縮後の返済額は500万円となります。
このように、持っている財産の価値以上の返済をしなければならないことを、清算価値保障の原則といいます。
また、個人再生では、住宅を手放さずに手続きを行えることもメリットの一つです。
個人再生には住宅ローン特則というものがあり、住宅ローンを債務整理の対象から外してもらうことができます。
住宅ローンを債務整理の対象から外すことで、債務整理後も住宅ローンは今までと同様払い続ける必要がありますが、その代わりに住宅を手放さずに済むことになります。
任意整理するだけでは借金を返しきることができないが家を手放したくない、そういう人のための債務整理手続きです。
個人再生の4つのハードルと通過条件
個人再生の手続きは、法律で決められている条件を満たしているか、裁判所が判断してくことで進んでいきます。
裁判所が判断するタイミングは、大きく分けて4つあります。
・開始決定時
・書面決議の開始時
・債権者による書面決議の締め切り
・認可決定時
これが個人再生で通過しなければならない4つのハードルです。
言い換えれば、この4つのハードルさえ通過すれば、個人再生が失敗する理由がないということで、個人再生手続きは完了して、借金の額が圧縮されるとも言えます。
弁護士に依頼している場合、弁護士はこのそれぞれのハードルを問題なく通過できるように、あなたに書類の提出を指示します。
僕はこんなことリサーチする暇もなく弁護士事務所に駆け込んだので、完全に弁護士に言われるがままに動いていました。
振り返ってみれば、ちゃんと事前に手続きの流れについて勉強しておけば、「開始決定が出たよ!」とか弁護士から連絡があった時に「じゃあ次はこんなことをするんだな」と頭の中で納得感を持って進められたと思います。
弁護士がやってくれるからいいといえばいいんですが、急遽辞任になった時が本当に大変でした。
新しく相談した弁護士に「自分の手続きがどこまで進んでいるのかも分からないのか」と呆れられましたし。
自分の人生にかかわることですから、やはりしっかりと自分で手続きの内容を把握しておくべきだと痛感しました。
では、それぞれのハードルの通過条件にはどのようなものがあるのか、具体的に見ていきます。
申し立てから開始決定
申し立ての前は、弁護士に指示された通りに裁判所に提出する書類を集めていきます。
必要書類の一覧は弁護士が用意してくれますので、自分はとにかく足を動かして書類集めに奔走です。
この頃が一番「自分のこれからの人生のために手続きが進んでいるんだな」と実感できました。
足を動かして、書類を取得できるたびに一歩進んだ感じがします。
ただ、一番大変なのが、休みのコントロール。
平日じゃないともらえない書類が多いですので、貴重な平日休みを取ることになります。
弁護士と契約する前も、色んな弁護士に相談するために平日休みを取りまくっていたので、とにかく仕事をコントロールしながら休みを取るのが大変。
うまく休みが確保できたら、1日でできるだけ多くの書類を集めたいので、どんな順番で回れば一番効率よく時間を使えるかというのを徹底しました。
そして、無事に書類が集まり、弁護士が内容をチェックして問題ないと判断すれば、裁判所に申し立てをします。
裁判所に、個人再生の申し立てをすると、その申し立てを棄却(取り下げ)するかどうかを裁判所が判断します。
申し立てが棄却されると開始決定が出ず、手続きを先に進めることができません。
申し立てを棄却される条件には、以下のようなものがあります。
・借金の総額が5000万円を超えている
・安定した収入がない
・手続き費用の予納がない
・明らかに認可が下りないと思われる
・小規模個人再生を求めると宣言していない
・不当な目的で申し立てをした
借金の総額が5000万円を超えている場合は、そもそも弁護士に相談した段階で個人再生は選択肢から外れるはずですので、これはだいじょうぶ。
手続き費用の予納は弁護士が積立金の中からしてくれているでしょうし、小規模個人再生を求める申述も申立書の中に書いてくれているはずです。
この中であなた(申立人)が気にするべきなのは、「安定した収入がない」、「明らかに認可が下りないと思われる」、「不当な目的で申し立てをした」という点です。
「安定した収入がある」かどうかは裁判所の裁量で判断されますが、申し立てする時に家計を提出しますので、主にその内容から判断されます。
収入がとても少ない場合や、収入がない場合は家計にそのように書かなければなりませんので、それを見て裁判所が判断します。
また、個人事業主の場合にも収入が継続的に安定してあるのかをチェックされます。
裁判所が安定した収入がないと判断した時には、追加の書類提出を求められたり、最悪の場合申し立ては棄却されますので、自己破産など別の手段を考えなければいけません。
次に「明らかに認可が下りないと思われる」についてですが、こちらも裁判所の裁量で決まってきます。
やはり提出した家計から判断されます。
一般的には、
収入−支出−圧縮後の借金の返済
の額が3万円程度あればだいじょうぶと言われています。
つまり、個人再生の認可が下りた時に、毎月3万円の余裕が出る状況ならだいじょうぶということですね。
この辺のさじ加減も裁判所の運用次第です。
次に「不当な目的で申し立てをした」かどうかですが、特に気をつけなければならないのは、弁護士に依頼した後に特定の債権者(お金を貸してくれた人・会社)だけに返済をしていないかが重要になってきます。
特定の債権者だけに優先的に返済することを偏頗(へんば)弁済というのですが、偏頗弁済をしていると、この「不当な目的での申し立て」に当たってしまう可能性があります。
弁護士に依頼した時に「これから先は、個人であっても企業であっても、一切借金の返済はしないでください」と釘を刺されるのですが、これは偏頗弁済をしないためなのです。
偏頗弁済をすると、申し立ての時以外でも問題となってしまいますので、特に個人への借金返済はしないように気をつけてください。
僕の場合、弁護士費用の払い込みよりも先に書類集めが終わりました。
そして、夏のボーナスで弁護士費用の払い込みが終了して1週間後くらいに連絡があり「申し立てをしました」と一言だけ告げられました。
書類集めの時はガンガン追加書類の提出を指示されて、とても慌ただしい毎日だったのに、なんともあっけないものだなと思いました。
でも、書類はしっかり準備したし、弁護士が申し立てしたということは、きっとだいじょうぶなんだろうと、全面的に弁護士に任せっきりでした。
書面決議の開始
無事に開始決定が出ると、次に再生計画案の提出をします。
再生計画案は「毎月どの会社にいくら返済するか」を決めた返済計画のことで、再生計画案の内容が認められれば、そこに書かれている内容に従って返済をしていくことになります。
再生計画案弁護士が書いてくれるので、この段階ではあなた(申立人)がすることは何もありません。
この後は債権者による書面決議(再生計画案を認可するか債権者が投票する)が行われるのですが、書面決議を行うことを「書面決議をに付する」と言います。
書面決議に付するかどうかも、裁判所が判断します。
書面決議に付することができないと判断されるのは以下の条件です。
・再生計画案が期日までに提出されていない
・再生計画案に不備がある
・財産目録に不備がある
主に提出書類の不備がないかどうかのチェックですね。
再生計画案については、清算価値保障の原則を満たしているかなどをチェックされます。
清算価値保障の原則は、上でも説明したように「持っている財産が多い場合は、その財産の価値の分だけは最低でも返済しなければならない」という決まりです。
ですので、再生計画案に書いてある返済額の合計が、持っている財産の価値よりも少なかった場合は、再生計画案に不備があるとして、書き直しを指示されます。
ただ、再生計画案については弁護士が作成してくれるのでよっぽどだいじょうぶだと思います。
書き直しの指示があった時も弁護士が対応してくれます。
あなたが一番気をつけなければいけないのは、財産目録に不備がないかという点です。
清算価値保障の原則があるため、高額な財産があると圧縮後の借金の総額も多くなります。
それを避けるために、いわゆる「財産隠し」をしようと考える人がいるかもしれませんが、財産目録で嘘をついていることが分かった場合には、書面決議に進むことができません。
このタイミングでの書類内容の確認は、かなり厳密に行われるようです。
実際、僕も弁護士が提出した再生計画案も不備を指摘されて書き直しとなりましたし、財産目録についても怪しい点があると裁判所が踏んだ場合には、通帳のコピーの追加提出など書類提出を指示されるケースも考えられます。
僕は弁護士の辞任によって、開始決定が出てから再生計画案を提出するまでの間、代理人(弁護士)不在の期間がありました。
もう不安で不安で仕方がなかったです。
特に再生計画案の提出期限があと1ヶ月後!と迫っても新しい弁護士が決まらなかったので、思わず裁判所にまで電話をかけちゃいました。
幸い後任の弁護士が期日までに提出してくれたので手続きはとん挫せずにすみましたが、提出した再生計画案に不備があったらしく、出し直しをしたとのことでした。
もう、この辺りまでくると弁護士に頑張ってもらうしかなく、ひたすら待つフェーズに入るので、進捗が知りたくて知りたくて仕方がありません。
でも、ちゃんと弁護士は動いてくれているので、信頼して待つことに徹しました。
開始決定が出てからはひたすら待つ期間に入るので、この時期までに弁護士との信頼関係を深めておけると、精神的に余裕が出てきます。
債権者による書面決議
個人再生の一番の要所といっても過言ではない、債権者による書面決議です。
書面決議では、提出された再生計画案を全ての債権者に送付して、賛成か反対かを問います。
ただし、債権者は、賛成の場合は特に何もせず、反対の場合だけ書面で裁判所に反対だということを連絡をします。
これを消極的同意と言います(積極的に賛成しているわけではないから)。
書面決議の通過条件は少し複雑で、次の2つの条件を満たしていることが必要です。
・反対した債権者の数が全体の半分未満
・反対した債権者の債権額(貸している額)の合計が、全債権者の債権額の合計の2分の1未満
分かりにくいですね。
例えば5社から総額1000万円借りていたとします。
この場合、3社が反対と言ったらアウト。
さらに反対が2社以下だった場合でも、反対した会社から借りている額の合計が500万円以上ならアウト。
ということです。
つまり、借り入れしている会社が少ないほど反対された時の影響は大きいし、たくさん借りている会社があればその会社の影響力が大きくなります。
別記事で、おまとめローンの危険性について書きましたが、まさにこの書面決議への影響が大きいのです。
おまとめローンを組むと、自然な形で債権者は少なくなり、おまとめローンを提供した債権者からの借入額が大きくなります。
そうすると、その債権者が反対するだけで、書面決議が否決されるいうことが起きるためです。
書面決議が否決されると、問答無用で手続きは終了するため、残された選択肢は給与所得者等再生に変更するか、自己破産かになります。
債権者の判断は、自分の力ではどうすることもできないので、書面決議の結果は個人再生をする者にとって非常に不安になるところです。
しかし、基本的には、書面決議で反対する債権者は少ないと言われています。
理由は、書面決議が否決されてしまうと、多くの人は自己破産しか選択肢がなくなるからです。
個人再生であれば、最低でも貸したお金の5分の1から10分の1は返してもらえることになるのですが、自己破産になると1円も返ってこない可能性が出てきます。
債権者としては、回収できるお金はできるだけ回収したいというのが心理ですから、書面決議で反対するメリットはあまりないのです。
反対することでメリットがあるのは、給与所得者等再生に切り替えさせることができる見込みがある時くらいですね。
給与所得者等再生になると、小規模個人再生(今まで説明してきた普通の個人再生のこと)よりも返済額が大きくなります。
ただ、それが分かっていても、書面決議に反対する債権者は少ないです。
なので、そんなに心配することはありません。
経験ある弁護士がいけると判断した時は、だいたいだいじょうぶです。
でも、はっきり言って書面決議の間は、申立人としては気が気じゃありません。
僕も完全にびびっていて、携帯が鳴るたびに「反対多数の連絡だったらどうしよう」って怖くて画面を見れませんでした。
僕の弁護士がそうだっただけなのかもしれませんが、再生計画案を出したっていう連絡が電話であってから、書面決議が始まって、書面決議が通って、認可決定が降りた1週間後まで、ずーっと弁護士からは電話連絡がありませんでした。
もう川原の砂利の上で正座させられたまま夜を明かすかのような修行です。
苦行です。
でも、それだけ連絡をしてこないってことは、余計な心配をかけないためか、反対されること自体がレアだから連絡をしないのが当たり前かのどっちかでしょうね。
僕はあまりにも書面決議の結果が心配だったので、書面決議の締め切りから1週間くらいたった頃に自分から電話しました。
「あー、反対はありませんでしたよ。次にご連絡するのは認可決定が降りた時になりますので、もうしばらくお待ちください」
と、反対なんかあるわけないじゃんってくらいの勢いで、普通に返答されました。
でも、ずっと不安に思っているこちらとしては、1つハードル越えたら連絡の1つくらい欲しいですよね。
認可決定
書面決議が可決されると、あとは裁判所から認可決定が出るのを待つだけです。
裁判所は、最後に認可決定を出すかどうかを判断します。
その時、以下の点を満たしていないことを確認して認可決定を出しますので、1つでも引っかかっている場合は認可決定が出ません。
・法律に違反した手続き、再生計画
・再生計画でやっていける見込みがない
・書面決議で不正があった
・再生計画の決議が債権者の利益に反している
・安定した収入がない
・借金の総額が5000万円以上
・計画弁済額が最低弁済額を下回っている
・清算価値保障の原則を満たしていない
・住宅ローン特則を使うのにそのことが再生計画に書かれていない
たくさんありますが、開始決定と書面決議に付する決定が出ていることで、クリアしている項目がたくさんありますので、実際に気にしなければいけない項目は限られています。
以下の項目については、開始決定か書面決議に付された時にクリアしているはずですので、重大な書類不備がない限りはだいじょうぶでしょう。
・法律に違反した手続き、再生計画である
・再生計画の決議が債権者の利益に反している
・借金の総額が5000万円以上である
・計画弁済額が最低弁済額を下回っている
・清算価値保障の原則を満たしていない
・住宅ローン特則を使うのにそのことが再生計画に書かれていない
残った項目を一つずつ見ていきます。
・再生計画でやっていける見込みがない
あなた(申立人)が一番気を付けなければいけない項目が、再生計画を遂行する見込みがあるか、という項目です。
裁判所は、申し立てから認可決定まで、全ての手続きを通して、再生計画を遂行できるかどうかを見ています。
通常は開始決定が出た段階から家計の提出はしなくてもよくなるのですが、再生計画を遂行する可能性が低いと裁判所が考えると、認可決定まで継続して家計の提出を求められます。
実際、僕は家計の提出を認可決定の直前まで提出するように指示が出ました。
このように、裁判所は最後まで再生計画の遂行可能性を見ています。
開始決定が出て家計を提出しなくてもよくなったとしても、裁判所が必要と考えれば、認可決定の直前に通帳のコピーや、過去にさかのぼっての家計を提出するような指示があるかもしれません。
ですので、認可決定までは、ボーナスや特別な一時金が入ったとしても、今まで通りの生活を送るように心掛けた方が無難です。
続いてはこちらです。
・書面決議で不正があった
普通に弁護士に委任している分には、書面決議で賛成を獲得するために不正をすることはほとんど考えられません。
しかし、個人からの借金も個人再生に入っていると、その個人も書面決議で反対を表明することができます。
この場合、例えば「あなたへの借金は優先して返しますので反対しないでください。」と約束してしまうと、書面決議で不正があったとみなされて認可が下りない可能性があります。
ですので、相手が個人でも企業でも関係なく、書面決議では全ての債権者に公正に賛成・反対を表明をしてもらうようにすることが必要です。
次はこちらです。
・安定した収入がない
安定した収入があるかどうかは、再生計画の遂行の見込みがあるかどうかと同じように、個人再生手続きの申し立てから認可決定まで、常に裁判所に見られています。
そのため、例えば個人事業主であったり、収入が不安定であったりすると、こちらもやはりぎりぎりまで家計の提出や、給与明細の提出などが求められる可能性があります。
とはいえ、開始決定は通過していますので、開始決定の前後で変化がないことが分かれば、問題なく認可決定は下りることが多いです。
法律の文面を確認していただくと分かりますが、不認可とする理由がなければ、それがすなわち認可決定になりますので、上に挙げた認可決定が下りない項目が一つもない場合は、必ず認可決定が下りることになります。
認可決定が下りる時には、「不認可とする理由はない」という言い方をされますので、少し違和感がありますね。
でも、法律に則って判断したら、そういう言い回しになるのです。
僕の場合は、弁護士から認可決定の連絡があったのは、実際に裁判所が認可決定を出した1週間後でした。
書面決議で反対はなかったと分かってはいたものの、家計の提出は相変わらず続けなければいけませんでしたので、「家計の内容が引っかかって裁判所が認可決定を迷っていたらどうしよう」とか、「翌月の家計まで確認するためにわざと認可決定を遅らせているんじゃないか」とか、本当にいろいろな想像が頭の中をよぎりました。
今までの人生で、これほどまでに「待つ」というのが苦痛だった期間はなかったかもしれません。
自分の人生が裁判所の判断に委ねられているという状況は、本当に居心地の悪いものです。
でも、実は待つことも個人再生手続きの一つの役割。
家計をつけながら待っている期間に、自分の借金体質を改善するという意味も、個人再生の手続きにはあるのです。
だから、待っている間にお金の大切さを感じながら過ごすことはとてもとても大事です。
再生計画の取消し
無事に認可決定を受けると、約1か月ほど経過すれば認可決定が、認可確定となり、この時点であなたの借金は再生計画に記載された金額に圧縮されます。
認可確定となった月の翌月から、再生計画に従った返済が始まり、あとは返していくだけという状態になるのですが、実はこの再生計画が取消しになることもあります。
再生計画が取消しとなってしまうケースは、主に以下の二つです。
・財産隠しが発覚した
・返済が滞った
まずは、一つ目の財産隠しについてです。
手続き中に財産目録という財産一覧を表す書類を提出します。
財産目録に記載されている財産の額が多いと、清算価値保証の原則から、返済額が大きくなることがあることは前に説明しました。
この清算価値を下げるために、持っている財産を財産目録に書かなかったり、財産の価値を低く見積もって書いたりすると、いわゆる財産隠しになります。
財産隠しをしたことが分かると、手続き中であれば手続きは中断・廃止され、認可決定後であれば再生計画の取消しとなってしまいます。
再生計画が取消しになると、圧縮された借金は元の額に戻ってしまいます。
ですので、財産については必ずすべて弁護士に正直に話し、財産目録から漏れてしまなわないようにしましょう。
さらに、意図的に財産隠しを行った場合は、最悪、詐欺再生罪という罪に問われてしまうことがあります。
ほんの少しのメリットのために、最悪罪に問われるリスクを背負うことになってしまうので、絶対に財産隠しはやめましょう。
また、認可後の返済が滞ってしまった場合も、再生計画が取消しになることがあります。
その多くは、返済が滞ったことにより、債権者が裁判所に申し立て、再生計画が取消しになります。
個人再生後の返済は、手続き前の借金の返済以上に、送れずきちんと払っていかなくてはいけません。
まとめ
個人再生の手続きは、認可までの間にとてもたくさんの書類を提出しなければいけませんし、とにかく裁判所の判断を待つ時間が長いです。
しっかりと手続きの流れを把握して「今自分の手続きはここまで進んでいるんだな」と納得感を持つことで、待っている時間も意味があるのだと考えられるようになります。
個人再生を決断して、まだ弁護士が決まっていない方は、下の記事を読んでみてください。
僕が理想的だと思う弁護士の選び方について書いてあります。