個人再生

個人再生の書類集めで損をしないためにできること

個人再生手続きの必要書類の中には、損をしないために少し考えて入手すべき書類があります。

・不動産の査定書
・自動車の査定書

の二つです。

これらは、認可決定後の返済総額を左右する可能性がある書類になります。

査定書の取り方しだいで、認可決定後の返済総額を減らすことができる可能性があります。

どうして認可決定後の返済総額を減らすことができるのでしょうか。

 

僕は、この記事の内容を知らずに書類を準備して、認可決定後の返済総額が予想よりもだいぶ大きくなってしまいました。

個人再生を行う方にとってはとても大事な情報となりますので、しっかりと覚えてください。

財産の価値が高くつくと認可決定後の返済額が大きくなる可能性がある

個人再生手続きでは、借り入れ総額の5分の1、もしくは100万円のどちらか大きい額に借金が圧縮されることは、個人再生手続きを考えている人であればご存知かと思います。

借り入れ総額が300万円なら100万円に圧縮されるし、1000万円であれば200万円に圧縮されるということですね。

 

しかし、返済総額を決定する要素は、実はもうひとつあります。

現在所有している財産をお金に換えた時の総額です。

借り入れ総額の5分の1と、財産をお金に換えたときの総額の、どちらか大きいほうの額が認可決定後の返済額となるのです。

これを清算価値保障の原則といいます。




清算価値保障の原則

清算価値保障の原則というのは法律用語ですので、少し難しいですね。

できるだけ分かりやすく説明します。

 

清算価値とは、持っている財産をお金に換えた時の価値のことです。

一般的に持っている財産だと、家、土地、車、株、預金あたりになります。

また、保険を解約したときにもらえる解約返戻金、退職金見込み額の8分の1の金額も清算価値に含まれます。

 

ここで法律の話になりますが、法律では個人再生認可後に返済する額は、清算価値以上の額でなくてはならないと決まっています。

これが清算価値保障の原則です。

なぜこんな法律があるのかというと、自己破産と大きく関係しています。

 

自己破産をすると、持っている財産を全てお金に換えて、債権者への返済に充てることになることはご存知ですよね。

つまり債権者は、自己破産をする人からは、最低でも清算価値の金額分は返済を受けられることになります。

 

ここで、個人再生と自己破産の関係が出てくるのですが、個人再生を行った方が、自己破産を行ったときよりも返済額が少なくなるなら、みんな個人再生を選んでしまいますよね。

債権者は書面決議によって個人再生をすることを認めるわけですから、「実は自己破産した方が多くの返済が得られる」という状況になれば、債権者は賛成しないでしょう。

あくまでも個人再生は、自己破産したときよりも多くの返済が見込まれることで、債権者が賛成し認可されるのです。

となれば、自己破産した場合に返済が見込まれる清算価値の分は、個人再生でも返済されることが保障されていなくてはなりません。

これが、清算価値保障の原則の考え方です。

 

清算価値を下げるためには査定を低く出してもらう

個人再生をするくらい借金があるということは、株や預金などはほとんどないのではないでしょうか。

しかし、家や土地・車については、それなりに価値のあるものを所有している可能性があります。

どれも生活に必要なものであり、借金があっても換金しないケースがほとんどだからです。

そうなってくると、家・土地・車の清算価値がいくらなのかが非常に大切になってきます。

清算価値の合計が借り入れ総額の5分の1を上回ったら、自動的に清算価値の合計が返済額になりますので、清算価値をいかに低く抑えるかがとても重要です。

 

家(土地を含む)の査定は、不動産屋などに出してもらいます。

出てきた査定額から住宅ローンの残高を引いた金額が清算価値になります。

もし査定額が住宅ローンの残高よりも低い場合(オーバーローンと言います)、つまり家を手放したとしても住宅ローンの残債が残ってしまう場合には、清算価値はつきません。

ですので、明らかにオーバーローンの時は、それほど査定額をシビアに考える必要はないです。

問題は、査定額が住宅ローンの残高よりも高い場合(アンダーローンと言います)で、この場合は査定額から住宅ローンの残高を引いた金額が清算価値となります。

車の査定についても同じです。

 

裁判所への提出は、2社の査定額の平均値を使用することが一般的ですが、できるだけたくさんの業者に見積もりを依頼して、一番金額の低かった2社の査定を提出書類としましょう。

査定額は業者によっても異なりますし、査定を出したときの家や車の状態によっても左右される可能性があります。

「査定額はできるだけ高いものを提出すること」と決まっているわけではありませんので、認可決定後の返済額を少しでも少なくできるように、できる努力をするべきです。

 

家の査定をする場合には「今すぐ手放したいので、現実的な金額を知りたい」と言えば、厳しめの金額で見積もりが出てくることが期待できます。

また、不動産会社に買取査定を出してもらうと通常の査定よりも大幅に低い価格がつくこともありますが、裁判所の運用によって買取査定はNGとなっていることが多いそうなので、気をつけてください。

 

車の査定についても同じで、車の査定は中古車販売業者に見積もりを出してもらうことになるのですが、できるだけ早く手放したいという意思を伝えると、査定が安くなることが多いようです。

また、中古車販売業者は、車の売買の仕組みを複数持っていることもあり、その場合は仕組みの違いが査定額の違いになってきます。

たとえば、できるだけ中古車販売業者が間に入らず、売りたい人と買いたい人の合意だけで進めるような形をとる場合は、査定額は高くなります。

逆に、中古車販売業者が間にしっかりと入ってやり取りを行う場合は、査定額が比較的低くなります。

もちろんこの違いは、車を買ってくれる人が現れるかどうかに関わってくるのですが、車を手放すわけではありませんので、全ての方法の中からもっとも査定額が安くなるものを確認して、査定額を出してもらいましょう。




査定書の取り方

おそらく弁護士から指示があると思いますが、査定書の取り方について書いておきます。

 

不動産の査定書

不動産の査定書は、不動産会社もしくはネットでの無料査定で簡単に取得することができます。

査定を出してもらった後は、しばらく営業を受けることになったりしますが、無視し続ければだいじょうぶ。

しばらくすると連絡は来なくなります。

どうしても営業を受けるのがいやであれば、ネットの無料査定の方がおすすめです。

 

ちなみに、地元の不動産会社に査定依頼を出す場合は気をつけておくべきことがあります。

地元の不動産屋は、価格を見積もるために、周辺の住居などで売却履歴があったところに聞き取りする可能性があります。

特に、マンションに住んでいて、マンションの査定額を見積もってもらう場合は要注意。

同じマンションで売却された部屋があれば、その部屋の元所有者に連絡が入ることがあります。

 

「前住まれていたマンションの1階の角部屋を売りに出したいというお客様がいらっしゃって、参考までに売却した価格を教えていただけませんか?」

といった具合です。

もちろん、その元所有者はご近所さんだったわけですので、仲がいい人である可能性だってあります。

そうなってくると「マンション出るの?どうしたの?」と突っ込まれかねません。

 

実は、僕はこのケースでマンションの査定依頼を出したことが知人にばれました。

不動産会社の落ち度ですが、ばれてしまったものは仕方ないので、苦しい言い訳をして乗り切りましたけど。

そうならないように、くれぐれも査定依頼がばれることがないよう、不動産会社には念押ししておくことが大事です。

 

車の査定書

車の査定書は、中古車販売業者に見積もりを依頼して出してもらうことになりますが、紙に見積額が印刷したものがもらえるわけではありません。

 

僕が査定を依頼したところでは、話を進める段階では紙に査定額を印刷したものをベースに話が進んでいました。

ところが、話が終わっていざ帰ろうとその用紙を手にして席を立ったら、

「こちらの用紙はお渡しできないんです」

と言われました。

このように、査定額を形に残る書類として出してくれるところはほとんどないようです。

 

ですので、担当してくれた営業の人に名刺をもらい、そこに査定額を書いてもらうことで、査定書の代わりとします。

(こんな非公式なものでだいじょうぶなんだろうかと思いましたけど)

査定を出してもらうときは、まず最初に担当の人の名刺をもらい、査定書を出してもらえないことを確認したら「金額を忘れるといけないので、名刺に金額書いてもらっても大丈夫ですか?」と聞いてみてください。

これが断られることはまずないはずです。




査定書は唯一返済金額をコントロールできる書類

保険の解約返戻金や退職金見込み額などは、あらかじめ決まった基準で算出されます。

清算価値の対象となるもののうち、金額が不確定なものは、不動産と車の査定です。

これらの査定書をとる場合は、できるだけたくさんの業者に依頼して、その中で一番低く査定のついたもの二つを書類として裁判所に提出するべきです。

債務整理をするにあたって、自分から損をする必要はまったくありません。

自分の知識と行動で認可後の返済額を減らすことができます。

 

法律を守ってさえいれば、弁護士にも裁判所にも何かを言われることはありません。

認可後に生活を立て直していくために、手続き中に努力できることはできるだけしましょう!

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