パチンコ・スロットは、日本特有のギャンブルの形態です。
世界的にみても、これほど身近にギャンブルをできる施設があるのは、とても珍しいことです。
そして、それが影響してギャンブル依存症になる人が後を絶ちません。
この記事を書いている僕も、大学時代はパチンコ屋の中でそのほとんどを過ごしたダメ学生の一人でした。
自覚があるかないかは別にして、ギャンブル依存症を乗り越えるためには、「物理的にギャンブルから距離を置く」のと、「勝ち方を必死になって探す」ことが大事です。
目次
ギャンブル依存症の統計
厚生労働省の統計によると、日本人の成人のうち約320万人がギャンブル依存症の疑いがあるそうです。
信じられますか?
320万人って、名古屋市の人口よりも多いんですよ。
そんな人数の人がギャンブル依存症の疑いがあるって、かなり異常な事態です。
さらに、その320万人のうち8割の人がパチンコ・スロットに最もお金を使っていたそうです。
このことからも分かるように、いかにパチンコ屋の存在がギャンブル依存症の人間を増やしているのかが伺える統計となっています。
ギャンブルに依存する心理
心理学によると、人間は自己イメージというものに支配されているそうです。
自己イメージとは、自分が思い描いている自分自身のイメージのことです。
ギャンブル依存症になる人も、漏れなくこの自己イメージに支配されています。
つまり「ギャンブルで負けた分はギャンブルで取り返している」というイメージであったり、「ギャンブルで負けて借金を膨らませる」というイメージだったり、とにかくギャンブルが生活の一部となってしまっているイメージですね。
この自己イメージを持っている限り、人間はその枠から抜け出すことはできません。
自己イメージに支配されてしまっているからです。
もしギャンブルで勝っても「その勝った分を次のギャンブルのために投資している自分」がイメージの中にありませんか?
もしくは、継続的にギャンブルで勝てても「これからもギャンブルで勝ち続けている自分」がイメージの中にありませんか?
そういったイメージを持っている限り、人はギャンブルから離れた生活ができなくなってしまうのです。
そして、なんとかギャンブルから抜け出したいと思っているあなた。
ギャンブルのない生活をイメージしようと思っても、うまくいきませんよね?
それはメンタルブロックという作用が働いているからです。
メンタルブロックとは、自分で自己イメージから抜け出そうとした時に、それを押さえつけてしまう作用のことを言います。
「ギャンブルのない生活をしたいけど、ギャンブルなくなったら暇な時間が増えてつまらない人生になってしまうなあ。自分には無理な話だ」と決めつけてしまうのも、メンタルブロックの作用です。
こうやって心理学の観点から考えてみると、ギャンブルから抜け出せない人の心理ってすごく分かりやすいですよね。
FXや株から抜け出せない人の心理も同じです。
とにかく、勝っているか負けているかは置いておいて、それがなくなった後の自己イメージをうまく作ることができないんです。
これは逆も同じで、ギャンブルとは縁のない人がギャンブルにはまる第一歩をなかなか踏み出さないのも、「ギャンブルで勝ててる自己イメージがないから」だと説明することができます。
パチンコ屋までの距離と依存症との関係
慶應大学の研究で、最近こんなことが発表されました。
という研究結果です。
僕は、自宅からの距離だけでなく、通勤経路や通学経路にパチンコ屋がある場合も、同じように依存症が疑われる確率が上がるのではと考えています。
要するに、いかに気軽に立ち寄れる場所にパチンコ屋があるかということですね。
この研究からも裏付けが取れるように、身近にギャンブルをできる施設がある日本だからこそ、依存症になる人がとても多いと言うことができます。
国のギャンブル依存症対策
パチンコ・スロットを打つ方は、国が躍起になって依存症対策に力を入れているのをご存知でしょう。
そう、2018年2月から本格的に始まっている規制です。
射幸心の高い台は国の規制によって販売できないようにして、パチンコ・スロットの客一人当たりが使うお金を下げ、結果的に依存症になる人を減らそうという試みです。
また、今話題のカジノ法案の中でも、依存症対策は随所に盛り込まれています。
・1週間に3回、1ヶ月に10回以上入場することはできない
・入場者のマイナンバーによる本人確認義務
・入場料2000円を徴収
などですね。
正直言って効果はないと思います。
ギャンブル依存症の人を増やさないためには、施設をなくし、これ以上作らないこと。
ギャンブル依存症から抜け出すには自分の意識を変えること。
どちらの対策にもなっていません。
国としては、カジノからの利益を確保したいという気持ちが先走っていている感が否めないと思います。
正直、パチンコ屋の換金行為を一切禁止するのが一番手っ取り早いでしょうね。
そこに問題があるのは国も理解しているだろうし、法律的にも手を入れる余地は残っています。
とは言ってもパチンコ市場はとても大きいので、メーカー、下請け会社、ホールの雇用などを考えても、換金行為禁止によって一斉にパチンコ市場がなくなるのは問題だと考えているのでしょう。
難しい話ですね。
依存症を克服する方法
国もなんとかしたいと思っているギャンブル依存症問題。
どうしたら克服することができるのでしょうか。
僕が考える克服方法は
・物理的に距離を置く
・勝ち方を学ぶ
の2つです。
物理的に距離を置く
物理的にギャンブルと距離を置く方法は、よく言われている方法ですね。
例えば、海外に3年間出向することになったら、大抵の人は依存症から抜け出せると思います。
パチンコ屋がない環境でも幸せに暮らしている自己イメージが出来上がるからです。
しかし、海外出向になる人の数なんて限られていますので、パチンコ屋が身近にある日本の中で、物理的に距離を置く方法を考えなければなりません。
距離的にパチンコ屋と離れることは難しい人が多いと思いますので、「近くにあっても入れない」という状況を作り出します。
要はお金を持たないという方法です。
一番確実なのは、嫁や旦那や親に、キャッシュカード、クレジットカードなど、全てのお金を引き出せるものを預けて、自分自身の財布の中には数千円だけ残す方法です。
お金を使うもらう時は、預けている相手に理由を言わなければならないので、心理的ハードルが上がり、なんとか数千円で過ごしていかなければという方向に意識が向かいます。
そうすると、ギャンブルをせずに数千円のお金を使ってやりくりする自己イメージがつき、ギャンブルから抜け出すことができると考えます。
ただし、この方法は「自分以外の誰か」に協力してもらうことが必須です。
自分がお金の管理をしている人が、自分の意識でコントロールしてお金を下ろさない、借金をしないというのは、まずできません。
協力してくれる人が必要なのです。
勝ち方を学ぶ
全く正反対の対策になりますが、ギャンブルの勝ち方を学ぶことで、結果的にギャンブル依存から脱出することもできます。
ギャンブルにどっぷり浸かっている状態から、一気にギャンブルの存在しない生活に変化させるのは、ものすごく大きなストレスになります。
そのストレスが原因で、他のギャンブルにどうやったら手を出せるかを考え始め、結果もっとレートの高いギャンブルに手をつけてしまうパターンも大いに考えられます。
レートの高いギャンブルは、探せばいくらでもあるので、そういった高レートのギャンブルに手を出し始めたら、症状はひどくなってると考えてください。
ですので、大事なのは、ギャンブルと離れることで発生するストレスをうまくコントロールすることになります。
ギャンブルを急にやめるのではなく、ギャンブルとの付き合い方を考えていく方法で依存症を抜け出しましょう。
それが、ギャンブルの勝ち方を徹底的に学ぶという方法。
ここでは特にパチンコ・スロットについて話しますが、パチンコ・スロットは勝ち方が確かに存在します。
その勝ち方を必死になって学んでください。
負けた時に分析できるように、収支もつけましょう。
そうするとどうでしょうか。
パチンコ・スロットをお金を稼ぐ手段と割り切って、ビジネスライクにとらえることができるようになります。
ビジネスであれば、ほんの数千円でも負けるのが嫌になります。
もし嫌だと思わないなら、まだ勉強が足りないので、もっと勝ち方について学んでください。
とにかく、パチンコ・スロットに対して努力するのです。
そうすると、とにかく負けることが嫌になります。
「負ける」の定義は人によって様々で、1ヶ月単位で負けるのが嫌だと思う人もいれば、1日単位でも負けるのが嫌だと思う人もいると思います。
負けるのが嫌だという気持ちが定着すれば、パチンコ・スロットがどれだけ非効率なお金の稼ぎ方か、理解できるようになります。
もうすぐ導入されるスロットの6号機の話を出すと、朝から最高設定を掴めたとして、最大で30000円程度が期待値です。
高設定を探すのであれば、低設定を打たされる時間もありますので、どれだけうまく立ち回っても1日あたり20000円がいいところでしょう。
これを高いと見るか安いと見るか、です。
もっと安定して稼げる方法はあるんじゃないか?
もっと効率よく時給が高い稼ぎ方があるんじゃないか?
勝ち方を学んでいくと、必ずこういった感覚が身についていきます。
そして、努力の割に結果が返ってこない現実にぶち当たれば、自ずとやめる動機付けになります。
とにかく、ギャンブルをギャンブルだと思わないために、必死で勝ち方を学んでみてください。
今のパチンコ・スロットの状況を考えれば、いかに勝ちづらい状況なのか見えてくると思います。
それが冷静に見えるようになったら、依存症から抜け出すチャンスです。
依存症から抜け出せたら
うまくギャンブルと距離を置くことができたら、必ずやることがあります。
それは、お金を稼ぐ手段について勉強することです。
ギャンブルの本質は「お金が増える」ことを楽しむことですから、ギャンブル以外のお金を稼げる手段をスキルとして身につけます。
そうすることで、ギャンブルをしなくてもお金は増やせるんだと理解でき、ギャンブル以外でしっかり稼いでいる自分の自己イメージが作られます。
そうなれば、自然とギャンブルに戻ってしまうことは無くなるはずです。
そして、もし借金をして首が回らない状態になってしまっているとしたら、債務整理をして人生をやり直すことおすすめします。
債務整理を行っていったん自分が無理なく生活できる状態にして、それからギャンブル以外でお金を稼ぐ方法を考えていくと、精神的にものすごく安定します。
債務整理をすべきタイミングの線引きは、僕はこちらの記事のように考えています。
依存症を克服するということ
パチンコ・スロットをはじめとするギャンブル依存症から抜け出すための2つの方法について書きました。
正直、ギャンブル依存から抜け出すことは、並大抵の努力ではできません。
僕も周りの人が、スロットで作った借金によって家族が崩壊する人を何人も見てきました。
ギャンブルが楽しくてやっている。
そういう考えももちろん尊重されるべきですし、それでみんなが幸せなら、そういう人生もありだと僕は思います。
でも、パチンコ・スロットをしてて、心の底から楽しいと思えますか?
思えないなら、きっとどこかでそこから抜け出したいと思ってるはずです。
自分の人生の幸せを作っていくのは自分自身です。
しっかりと将来について考えて、自分が一番幸せだと言い切れる人生を歩んでください。
⇒参考記事:「ギャンブルやFXで借金!その時選べる債務整理とは」