任意整理をしても月々払っていけない、個人再生するには収入が足りない。
そんな方が選ぶ手段が自己破産になります。
自己破産というと、人生終わったというイメージを持つ方もおられるかもしれませんが、そんなことはありません。
どうしても返済しきれない借金を抱えた人が、借金をリセットして、新しく人生を始めるために用意された法的手段です。
任意整理も選べず、個人再生も使えないという方が、借金を自分だけの力で返していくのは、ほぼ不可能です。
自転車操業状態でこれからの数十年の人生をふさぎ込みながら過ごしてよりも、法律の力を借りて、借金をリセットして、その後に社会なり親なり家族なりに還元していく方が、周りに与える影響もはるかにプラスです。
年間7万人以上の方が自己破産をしています。
自己破産をしたことは周りに知られないため、ひょっとしたら自分の身近な知り合いが、実は自己破産をしていたなんてこともあるかもしれません。
知識として知っておくだけでもいいので、自己破産のメリットとデメリットを知っておいてください。
自己破産とは
自己破産は、裁判所に申し立てを行い、全ての借金を帳消しにしてもらう手続きです。
任意整理で返済可能な額以上の借金があり、個人再生をしようにも、収入がないなどの理由で手続きを終えることができない方が最終的に選ぶのが自己破産になります。
自己破産で押さえておく点は、裁判所を介した手続きであることと、価値のある財産を手放すことになるという点です。
このことが、どのように影響してくるのかを、メリット・デメリットを通して見ていきましょう。
自己破産のメリット
まず自己破産のメリットは、全ての借金を帳消しにしてもらえることです。
個人再生でも借金の5分の1は返済していかなくてはいけません。
ところが、自己破産をすると、全ての借金が0になるのです。
債務整理を行い、新たに人生を歩み始めるにあたって、これほど大きなメリットはありません。
自己破産のメリットはこれ一つだけですが、借金というものを整理する債務整理に当たっては、これ以上のものはないでしょう。
しかし、メリットが絶大である代わりに、デメリットもそれ相応のものがあります。
自己破産のデメリット
ひとつ目のデメリットは、任意整理・個人再生でも書いてきたように、信用情報に事故履歴が残ることです。
そして、ふたつ目のデメリット、これが自己破産を行う上での最大のデメリットとなりますが、価値のある財産は手放さなければならないということです。
逆に言うと、破産しても残せる財産以外のものは、全て手放すことになります。
具体的に、どのような財産が手元に残せるかというと、
・現金100万円未満
・生活に必要な家財道具
・仕事に必要な道具
・価値が20万円未満の財産
です。
通常の方が持っている財産だと、主に「家」と「車」を手放すことになります。
さらに、個人再生と同様、裁判所が介する手続きとなりますので、官報に名前が載ることになります。
もう一つ、自己破産のデメリットとしては、借金をした理由などによって免責(借金の返済を免除されること)が下りないことがあるということです。
じゃあどんな場合に免責が下りない可能性があるかというと、
・借金の原因が浪費やギャンブルなどである場合
・裁判所や債権者を欺くような事実がある場合
・ショッピング枠の現金化をしていた場合
・財産隠しをした場合
などです。
特に気になるのは、借金の原因が浪費やギャンブルの場合に、免責が下りない可能性があるという事実です。
FXや株による借金も、この条件に当てはまる可能性があります。
また浪費などで借金を作ってしまうことはよくある話ですよね。
実際には、浪費やギャンブルなどで借金を作ってしまった場合でも、免責が下りる可能性はあるそうです。
特に1回目の自己破産であれば、免責が下りる可能性が高いです。
「自分の借金はFXが原因だから自己破産はむりだなあ」などとあきらめてしまう前に、弁護士に相談してみましょう。
⇒参考記事:「ギャンブルやFXで借金!その時選べる債務整理とは」
少し話がそれてしまいましたが、デメリットはもう一つあります。
それは、破産手続きの開始から免責が確定するまでの間、以下のような職業に就くことができないということです。
・弁護士
・弁理士
・税理士
・生命保険の募集人
・警備員
など、多数存在します。
また、会社の取締役や役員などは、自己破産によってその地位を失います。
自己破産のデメリットをまとめると、
・ブラックリストに載る
・価値のある財産を手放さなくてはならない
・官報に名前が載る
・借金の理由によって免責が下りないことがある(浪費など)
・破産開始から免責が下りるまで職業や資格に制限がつく
の5点になります。
デメリットというよりは、自己破産をするための条件になりますね。
自己破産は借金を帳消しにする、債務整理としては最後の手段になります。
そのため、条件も厳しいのは当然です。
しかし、職業に制限がついてしまうのは避けようがないですが、その他の条件については弁護士と相談してみる価値はあります。
収入が不安定(もしくは収入がない)方で、手放す財産もないのであれば、自己破産を検討するべきです。