債務整理を考えるにあたって、多くの人が真っ先に考えるのは「家族や会社に債務整理をした事実はばれるのか」ということです。
債務整理することがばれるということは、それだけ多くの借金があったことも同時にばれますから、できることなら家族や会社・知人にはばれずに債務整理を行いたいですよね。
では、実際にばれる可能性があるのかということを、それぞれの債務整理の種類ごとに見ていきたいと思います。
そして、最後に、家族や会社にバレないように債務整理をする方法について書きます。
全ての債務整理に共通して言えること
債務整理のメリット・デメリットの記事でも書きましたが、全ての債務整理に共通して存在するデメリットがあります。
それは、信用情報に事故履歴が残るということです。
信用情報に事故履歴が残る=ブラックリストに載るということは、
・クレジットカードが作れない
・ローンを組むことができない
・ローンや奨学金などの保証人になることができない
ということです。
特に妻(夫)や子どもがいる場合は、ブラックリストに載ってしまうことで、家族にばれるリスクは高くなります。
例えば、子どもが大学に入学して奨学金を申請しようとしたときに、「お父さん保証人になってよ」と言われても断ることしかできません。
普通に考えて、理由もなく我が子の奨学金の保証人になることを拒否する親はまずいないと思いますので、ここでうまい言い訳ができて、周りを納得させられることができるかがポイントになってくると思います。
他には、家族で使っている車が突然の事故で故障してしまい、どうしてもローンを組んで車を買わざるを得ないといった時も同じことが言えます。
では、こういった状況になったときに、どう切り抜けるのがいいのか。
僕であれば、「前にクレジットカードの返済を滞納したことがあるから、ひょっとしたらローンが組めない(保証人になれない)かもしれない」という言い訳をします。
基本的に、ローンを組む時の審査や、保証人になれるかどうかの審査は、審査結果は知らされますが、審査がNGとなった理由は教えてもらえません。
そこを逆手にとって、「ひょっとしたら信用情報に傷がついているかもしれないからごめんね」という言い訳をします。
本当に返済の滞納でブラックリストに載っているのか、債務整理をしたからブラックリストに載ったのか、知る術がないので(※実はありますが)、あまり突っ込んで聞かれるのでなければ、ばれるリスクは低いと思います。
逆に妻(夫)が厳しく追及してきたりするタイプの方である場合は、それなりにやりあう覚悟が必要だと思います。
※信用情報を開示すると、ブラックリストに載った理由が債務整理手続きによる事故なのか、返済の延滞によるものなのかは判別できます。
信用情報を開示しろと突っ込まれたらアウトです。
それに比べて、結婚はしておらず、親との同居や一人暮らしである場合には、この理由で周りにばれるリスクはほぼないと思います。
せいぜい「このクレジットカードは作っておいた方がいいよ」と友達に言われた時に断って、怪訝そうな顔をされるくらいでしょう。
また、会社ばれについても同様で、わざわざ会社が個人の信用情報なんて気にするわけもありませんから、ばれるリスクはありません。
もう一つ、家族に対してばれるリスクが、債務整理全てに共通してあります。
それは、弁護士や裁判所からの郵便物です。
弁護士からの郵便物は、弁護士に事情を話しておけば配慮をしてくれる場合がほとんどです。
郵便物を送る時に、事務所名ではなく、個人名で送ってくれます。
普段見たことがない名前の郵便物がきますので、怪しまれるとは思いますが、封筒を開けられない限りはバレないと思います。
しかし、裁判所からの郵便物は特別郵便となっているので、確実に裁判所からの郵便であることは分かります。
ただ、弁護士と契約していれば、基本的に裁判所からの手続きに関する通知は弁護士の方に送られますので、裁判所から郵便物が来ることはありません。
問題は、債務整理に訴訟が絡んだ場合です。
僕は車の引き上げに関して訴訟を起こされてしまったので、その訴訟についての通知は自宅に直接郵送されてきました。
こうなると、「何の裁判なの?」と聞かれるのは当然なので、言い訳するのがだいぶ苦しくなります。
事前に弁護士と相談する時に、「裁判所から郵便物が来ることはありますか?」と確認しておいた方がいいでしょう。
任意整理がばれるリスク
任意整理のメリットとして、車や家などの財産を守ったまま債務整理を行うことが挙げられます。
このことから、「突然家や車を手放さなければならない」という状況にはならないので、ブラックリストに載ったこと以外で家族や会社にばれるリスクは、ほとんどないと言えるでしょう。
家族や会社・知人にばれるリスクがないという観点から、債務整理の手段としては最も利用しやすいのが任意整理だと言えるのかもしれません。(実際に利用者の数も任意整理が一番多いです)
個人再生がばれるリスク
個人再生は、同居の家族にはばれるリスクが高いです。
理由としては、個人再生の手続き上、同居している家族分をまとめた家計簿が必要だからです。
家族分をまとめた家計簿を提出するということは、妻(夫)が働いている場合には、その収入の額を証明する必要があり、妻(夫)の給与明細のコピーの提出が必要となります。
また、家族が使った分のお金も把握して、家計簿に書かなくてはなりません。
僕の場合は、妻の給与明細のコピーだけではなく、妻の源泉徴収票のコピーも必要でした。
これらの書類が提出できなければ、そもそも個人再生の手続きを始めることすらできませんので、頭を下げてコピーを取らせてもらう必要があります。
この話は、同居している家族であれば例外なく必要なので、親と同居していて親が働いているのであれば、親の給与明細のコピーが必要となります。
次に車が引き上げられてしまうことによりばれるリスクについてです。
個人再生のデメリットでも書きましたが、ディーラーローンを組んで購入した車がある場合、ローンの返済が終わっていなければ、間違いなく車は引き上げられます。
家族にばれずに車を処分するのはかなりハードルが高いと思います。
以上から、同居の家族にばれずに個人再生を行うことは、かなり難しいと言わざるを得ません。
では会社や知人に対してはどうなのか。
会社や知人にばれるリスクは極めて低いです。
個人再生の手続きが会社や知人にばれるリスクとしては2つあります。
官報に名前が載ってしまうことと、退職金の見込み額の証明書を会社に出してもらう必要があることです。
官報については全く気にする必要はありません。
インターネットで「官報」と検索すればインターネット版官報が簡単に見られますので、一度見てみてください。
初めて見た方は、ぱっと見でどこに個人再生をした人の名前が載っていのかすら分からないと思います。
官報に掲載されるタイミングは裁判所の運用によって様々ですので、毎日官報をじっくり眺めるようなお仕事をしてる人でない限りは、まず自分の名前に気づかれることはないでしょう。
一昔前までは、このインターネット版官報はテキストベースで公開されていたそうです。
テキストベースで公開されていると言うことは、googleの検索などで自分の名前を打ち込むと、検索に引っかかってしまうことがあるということです。
しかし最新の官報は画像として公開されているため、googleの検索で引っかかってしまうことはありません。
なので、官報については心配しなくてもだいじょうぶです。
退職金の見込み額の証明書については、人事や総務に「退職金の見込み額証明書をください」と正直に言うと怪しまれる可能性はあります。
ただ、退職金の見込み額を自分で計算して出しても、計算が間違っていないことさえ証明できれば手続きに使うことができます。
僕の場合は、退職金がポイント制で管理されていましたので、現在のポイントが分かる郵便物と、ポイントから退職金を計算するための計算式が載った社内規定のコピーを弁護士に提出して、それで無事通りました。
ですので、会社には一切退職金に関する資料は要求していないのでばれていません。
自己破産がばれるリスク
自己破産がばれるリスクは、個人再生がばれるリスクとほとんど同じです。
自己破産の最大のデメリットは、価値のある財産を全て処分しなければならないことであるのは、前に書きました。
特に家と車を残すことができないので、マイホームやマイカーを持っている場合に隠し通すのは難しいと言えます。
次に、官報に名前が掲載されてしまいますが、こちらは個人再生と同様ばれるリスクはないので気にする必要はありません。
退職金の見込み額の証明書も個人再生と同様、やり方によってばれるリスクはなくなります。
家族や知人に債務整理を気付かれないための方法
まず、債務整理全てに共通して言えることは、ブラックリストに載ってしまうことに対する理由を作っておく必要があります。
これは避けることができませんので、あらかじめ準備をしておく必要があります。
準備とは「返済を滞納したことがあるから、ブラックリストに載っているかもしれない」と、同居の家族に周知しておくことです。
いざ、債務整理に踏み切って、いきなりローンが組めない、保証人になれないだと、怪しまれることは間違いありません。
債務整理をする前から、それとなくブラックリストの存在を知らせておけば、いざローンが組めないとなった時にも、渋々納得してもらうことができる可能性が出てきます。
クレジットカードが作れない理由もこれで通ると思います。
任意整理の場合は、他に問題になることはないので、ブラックリストの件だけなんとかすれば大丈夫です。
次に、個人再生と自己破産についてです。
同居の家族にばれずに手続きを行うのは、上に書いたようにかなり厳しいですが、それでもばれずになんとかならないかと考える気持ちは痛いほど分かります。
じゃあ、何をしたらばれる可能性が限りなく低くなるのか。
まず大事なのは、同居の家族の給与明細、源泉徴収票を出しておいてもらうことです。
手続きを始めてしまってからでは遅いです。
手続きを始める少なくとも3ヶ月前から、家族に協力してもらって給与明細を出してもらうようにしましょう。
理由としては、「これからちゃんとした家族の家計簿をつけていこうと思っているから」と言うのがいいかなと思います。
家計簿をつけること自体は、何ら変なことではないですし、実際に手続きが始まったら過去に遡って家計簿つける必要がありますから、間違ったことは言っていないです。
源泉徴収票を出してもらうのは若干ハードルが高いですが、「扶養家族に入っていることを証明する書類が必要だから」と言えばいいと思います。
扶養できることの証明書類は定期的に収集されますし、比較的怪しまれずにもらうことができると思います。
次に、財産がなくなることに対する理由づけはどうかという話ですが、マイホームやマイカーがなくなることは生活にも尋常でないくらい影響がありますし、隠し通すのはかなり無理があるでしょう。
人間不思議なもので、自分から秘密を打ち明けるのと、相手が勘づいてしまうのでは、前者の方が圧倒的に信用信頼が守られる傾向があります。
隠し通すことができないなら、自分から打ち明けた方が、今後の生活にとってはプラスになることが多いです。
財産処分によってばれるリスクがある場合は、隠し通すことから頭を切り替えて、どう打ち明けたら受け入れてもらえるかを考えるべきだと思います。
ちなみに、僕は債務整理を弁護士に相談した日の夜に、妻に打ち明けました。
この時に正直に打ち明けなければ、手続き中の妻の協力は得られなかったと思います。
家族に借金の事実がばれるのは、本当に胸が張り裂けそうなことだとは思いますが、なんとか勇気を出して打ち明けてください。